照明器具に使われる充電式電池とは?基礎・基本を学ぶ

第148回 長谷川正の「言ったモン勝ち」


先日のブログで紹介した非常灯には電池が内蔵されていますが、これらの電池は使い切りの乾電池(一次電池)ではなく、何回も充電して使用できる充電式電池(二次電池)を採用しています。JIL規格により非常灯で使用可能な充電池はニッケル・カドミウム電池Nickel-Cadmium rechargeable battery:Ni-Cd)とニッケル・水素電池Ni-MH )に限定されますが、ちまたにはいろいろな種類の充電池が出回っており、現在では性能が大幅向上したリチウムイオン電池lithium-ion battery)が大部分を占めるようになってきました。

当社ではこれらの充電池を使って様々な充電式照明器具を作っています。当社の製品は工事現場を意識したもので一般の方々の目には留まりません。しかしながら、ホームセンターなどでは充電池単体や充電式懐中電灯などが多数並んでいますので、充電池が様々な電灯・照明に使用されていることは間違いなく実感できます。以下には、一般の乾電池と、代表的な充電池のメリット・デメリットを紹介いたします。

充電池

乾電池(dry cell)

一番ポピュラーな電池で、どこでも入手できる手軽さがメリットです。例えば、外出先で充電式電池が切れたら電気のコンセントを探す必要がありますが、一方、乾電池が切れてもコンビニなどで買って取り換えるだけです。反対のデメリットとは、使い切ったら終わりとなるため、コストパフォーマンスは悪くなるでしょう。ちなみに、乾電池の単1(D)・単2(C)・単3(AA)という規格は、電池の容量とサイズを規格化しています。数字が小さいほどサイズは大きく、大容量の電気機器向きであり、小型化されている電気機器では小さい単4(AAA)や単5(N)電池を使用することが多くなっています。

ニッケル・カドミウム電池(Nickel-Cadmium rechargeable battery:Ni-Cd

ニカド電池とも呼ばれます(ニッカド電池は三洋電機の登録商標)。メリットは、充電池の中では歴史が古く取り扱いメーカーも豊富なため、アキバなどでも容易に安価で手に入れることができます。また、耐久性が高く使い始めから終わりまで安定して放電されるため、ラジコンなどのホビー用、モーター(電動工具)などの高出力用に広く使われています。デメリットとしては、使っていない間に電池の容量が減少する自然放電が大きいことや長期間動かす機器には適さないことが挙げられます。また、含有するカドミウムが有害物質のため、環境に悪影響を及ぼさないよう廃棄などに注意が必要なことです。なお、一般社団法人JBRCでは、ニッケル・カドミウム電池などの小型充電式電池を回収しリサイクルを行っています。

ニッケル・水素電池(Ni-MH)

鉛電池やニカド電池のように電池材料に有害物質を含んでおらず、環境にやさしい新型充電池です。充電池としては高容量で、リチウムイオン電池が普及するまでは長らく携帯機器の電源として使用されてきました。最近では欠点であった自己放電を抑えることが可能となり、高速充放電が可能であること、サイクル寿命が長いことから、ハイブリッド自動車(HEV)に搭載されるなど、今後さらなる用途拡大が期待されている次世代の充電池です。

リチウムイオン電池(lithium-ion battery

リチウムイオン電池とは、プラス極にコバルト酸リチウム、マイナス極に炭素材料を用いた充電式電池(二次電池)です。基本概念を確立したのは2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏らですので、皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。メリットは、何といってもサイズが小さくて大容量の電力をたくわえられること、何度もくりかえして充電と放電ができることです。そのため、毎日持ち歩くスマホやノートパソコンのバッテリーとして最適です。最近では電動アシスト自転車や電気自動車にも使われるようになりました。一方でデメリットは劣化です。満タン充電で長時間放置させたり、急激に温度を変化させると寿命が短くなります。また、いまだに高価ですので、スマホの炎天下での車内放置や真冬の屋外への持ち出しには注意しましょう。

参考)長谷川製作所の得意技術(工事用照明器具製造)

次回のブログは非常灯の製作事例を紹介します。


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