乾電池の「単」や電池記号とは?
基礎・基本を学ぶ

No.167 長谷川正の「言ったモン勝ち」


乾電池のことを理解しよう

9月になると「防災の日」がやってくる。私は1994年の阪神淡路大震災と2011年の東日本大震災を経験しているからなのか、この時期に日頃から備えている防災グッズをチェックするようにしています。食料や飲料水も必要なのだが、最近は懐中電灯やスマホ充電器で使用する乾電池の出番が多くなってきたような気がします。ところで、日常生活に馴染み深い乾電池の「単3」や「単4」。当たり前のように呼んでいる名前ですが、その通称や後に付く数字の決まりについて調べてみました。

「単」とは日本独自の通称

この疑問には日本経済新聞の土曜日版(2022年4月23日)に答えが載っていました。電子版でも閲覧できますので、興味のある方はこちらにアクセス願います。要約すると「単」とは国際電池標準会議(IEC)が定める国際規格ではなく、国内規格の日本産業規格(JIS)として定められ、国内では通称として広く使われていたために、現在でも日本独自の呼び名が定着しているそうです。実はアメリカでも同様の一般通称が使われていて、単3はAA(ダブルエー)、単4ならAAA(トリプルエー)という呼称となっています。(であれば単2はA(エー)なのか、と想像するが全く違う・・・、何かの頭文字?)ちなみに、国際規格では単1は「R20」、単2は「R14」という呼び名になり、後ろに付く数字は大きさを表しますが、こちらも何を基準としているのかは不明でした。

乾電池の通称電池工業会HPを参照)

上記に加えて種類(電池系:アルカリやリチウムなど)や形状などがわかる記号が電池に表記されています。詳細は下記の電池記号対応表(一次電池のみ記載)を参照願います。例えば、下図の「LR-6」とはアルカリマンガン電池の単3形を表しています。

乾電池の電池記号電池工業会HPを参照)

ボタン電池やコイン電池の記号はやや複雑で、寸法数字が2桁の場合は国際規格で定められたコード(41=外径7.9mm/高さ3.6mm、43=外径11.6mm/高さ4.2mm、44=外径11.6mm/高さ5.4mm)を、一方で4桁の場合は前2桁が外径を、後2桁が高さを意味します。たとえば、「LR44」はアルカリマンガン電池の円筒型で外径11.6mm/高さ5.4mm、「CR2032」は二酸化マンガンリチウム電池の円筒型で外径20mm/高さ3.2mmと読み取れます。ここで面白いのが、カクカクした四角い9V電池の表記にて、マンガン電池は「6F22」なので1.5Vの電池を6個直列しているんだな、22は国際規格コードですね、と理解できますが、アルカリ電池では「6LR61」となり、えっ、Rということは本当は円形なの?と、もう何が何だか私には分かりません。もし説明できるお方がいらっしゃったら、是非ともご教授願います。

なお、最近のA23や23Aなどと表記した単5形に似たアルカリ電池や、1865、2170や4680と呼ばれる円筒形のリチウムイオン電池には当てはまりません。新しい電池も日々多く出回りつつありますので、どのメーカーも新型電池の開発に力を入れているようです。

乾電池はなぜ安いのか?

現在は角形や平形などの形状の電池が流通していますが、乾電池といえば入手が簡単で価格も安く、馴染みの円筒形になります。ですが角形のほうが転がらない、保存しやすいなどのメリットが多いと思うのは私だけでしょうか?実は、乾電池が安く入手できるのは円筒形が関係しています。一般的に電池内に封入されている電解液や極板の種類の差はありますが、電池の出力性能は材料の体積によって決定されます。そのため、同じ体積の材料を密封するための外側金属材料が少なくてすむ形状が円筒形ということになります。私事ですが、その事実を知った時に中学受験の図形問題を思い出してしまいました。つまり、面積が一定の場合、その外周の長さが最小となるのは、直線であれば正方形、曲線なら円形となります。または体積が一定の場合、その覆う面積が最小になるのは正立方体もしくは球形となります。まさかこんな所で学校の勉強が役に立つとは・・・、中学受験恐るべし。でも、球形は材料費は少ないですが製造設備などのコストがかかりそうですし、何より球形の乾電池は使い勝手が悪そうです。

乾電池が誕生したのは明治20年(1887年)、その発明者は屋井 先蔵(やい さきぞう)氏です。明治27年(1894年)に勃発した日清戦争にて、厳冬の満州で使用できたのが、当時のダニエル電池(液体式)に代わる乾電池(dry battery、dry cell)だったそうです。よくよく考えると戦争が我々の生活を豊かにしているのは皮肉ですが、将来、ドローンの飛行時間延長や自動運転の電気自動車増加を理由として、更なる高性能電池が開発されるのは間違いありません。

参考)バッテリーパノラマスタンド
参考)長谷川製作所の得意技術(防水照明器具製造)
参考)リチウムイオンバッテリーの種類と特徴とは?基礎・基本を学ぶ
参考)リチウムイオンバッテリーの劣化と寿命とは?基礎・基本を学ぶ


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