工場の保守点検に活かす!シーケンス制御入門(その2)
基礎・基本を学ぶ

No.194 長谷川正の「言ったモン勝ち」


第2回:電気の通り道を切り替える「a接点・b接点」と基本部品

前回(第1回)では、シーケンス制御の全体像と「図面は電気を水に例えて上から下に追うと読める!」というお話をしました。装置の仕組みに少し興味が湧いてきたでしょうか?さて、いよいよここからが実務(保守点検)の本番です。現場でシーケンス図(図面)を開くと、そこには見慣れない記号がたくさん並んでいます。「うわっ、難しそう…」と身構えてしまうかもしれませんが、安心してください。実は、どんなに複雑に見える大型装置の図面でも、分解していくと「a接点」と「b接点」という2つの基本スイッチの組み合わせだけで大概理解できるようになります。今回は、点検の第一歩となる「接点」の種類と、シーケンスの主役である「リレー」の仕組みについて、私の備忘録の意味を込めてわかりやすく解説します。

1. 全ての基本!「a接点」と「b接点」ってなに?

シーケンス制御の世界では、電気の通り道を切り替えるスイッチのことを「接点(せってん)」と呼びます。そして、この接点には大きく分けて2つの種類しかありません。それが「a接点」と「b接点」です。現場で一番つまずきやすいのが、この2つの違いです。ここでしっかりイメージを掴んでしまいましょう!(ここでは、a接点とb接点を組み合わせたc接点は省略します。)

a接点(常時「開」・OFF)

    • 状態:普段は離れていて、電気が通りません(OFF)。
    • 動き:ボタンを「押したとき」に、接点が閉じて電気が通ります(ON)。

b接点(常時「閉」・ON)

    • 状態:普段は最初からくっついていて、電気が通っています(ON)。
    • 動き:ボタンを「押したとき」に、接点が開いて電気を遮断します(OFF)。

シーケンス図(展開接続図)では以下の通りとなります。

 

2. なぜb接点が必要なの?(保守点検の超重要視点)

「普段から電気が流れていて、押すと切れるスイッチなんて、わざわざ分ける必要ある?」

と思うかもしれません。しかし、私たち保守点検の人間にとって、b接点は命よりも大切な「安全の要」なのです。例えば、大型機械の周りにある「安全柵(カバー)」をイメージしてください。もし柵が開いたら、危ないので機械を絶対に止めたいですよね。

もし、ここがa接点だったら・・・

「柵が開いたこと」を検知して、電気を「通して」モーターを止める命令を出します。でも、もし検知する電線が途中でブチッと断線していたら?いくら柵が開いても電気が通らないので、機械は止まらず動き続けてしまい大事故になります。

もし、ここがb接点だったら・・・

普段は「柵が閉まっている」ので電気がずっと流れています。柵が開くと、回路が離れて電気が「切れて」機械が止まります。これなら、もし途中で電線が断線しても、電気が切れるので自動的に機械が安全に止まってくれます。

このように、トラブルが起きたときに「安全な側に倒して止める(フェイルセーフ)」ために、b接点は絶対に欠かせない仕組みなのです。

3. シーケンスの主役「電磁リレー(リレー)」の仕組み

a接点とb接点の違いがわかったら、次はいよいよ工場の制御盤の中で一番たくさん並んでいる最重要部品、「電磁リレー(以下、リレー)」について学びましょう。リレーとは一言でいうと、「少ない電気の力で、遠くにある大きな電気をa接点やb接点で切り替える部品」です。

中身はとてもシンプルです。

オムロンHPより引用

1.コイル端子に小さな電気を流すと、中にある小さな「電磁石(コイル)」が磁石になります。

2.磁石の力で、近くにある鉄片を「グッ」と引き付けます。

3.その鉄片の先にあるa接点やb接点が、人間の手の代わりにスイッチ(接点)のオンオフを行います。

リレーがなぜ現場で必要なのか?

これには「小さな力で、大きなものを動かす」という目的があります。工場の巨大なモーターを動かすには、感電するほどものすごい大きな電流が必要です。皆さんが触るような小さな押しボタンに直接そんな大電流を流していたら、いつかショートして火花が散って危険ですよね。そこで、人間は安全な「小さな電流」でボタンを押し、まずは「リレー」を動かします。そして、そのリレーの中にある頑丈な接点が、代わりに「大きな電流」を安全にON/OFFしてくれるのです。


今日のまとめと、保守点検への活かし方
    • a接点は、普段はOFF。押したときだけONになる(起動用など)。
    • b接点は、普段はON。押したときだけOFFになる(非常停止・安全用)。
    • リレーは、電気の力で接点を切り替える主役部品。

次回(第3回)は、このa接点・b接点とリレーを組み合わせて作る、シーケンス制御の超基本にして最重要プログラム「自己保持(じこほじ)回路」について解説します。これが読めれば、装置の「起動」と「停止」の裏側が完全にマスターできますよ。お楽しみに!


参考)工場の保守点検に活かす!シーケンス制御入門(その1)
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