HASEGAWA Co.

防水規格の保護等級(IP)を取得した背景とは?

全タイプにて保護等級を取得

この度、当社ワンタッチ提灯コードにて保護等級(IPX3)を取得し、全てのタイプが防水対応製品としてリニューアルいたしました。保護等級とは、IEC 60529(国際電気基準会議)およびJIS C 0920(日本産業規格)の2つの規格(内容はほぼ同一)にて定められ、公的な防水規格の一つと位置づけされています。最近ではスマホの防水性基準としてHPやカタログで目にするようになりましたので、「IP○○」という表示に馴染みの方も多いでしょう。(保護等級の詳細は当社ブログ「防滴、防雨、防水規格の違いとは?」参照)

さて、一般的に提灯コードはお祭りやイベントなどの屋外で使用されることが多いため、雨水の浸入によるショートを防ぐための防水性能は備えていて当然だと思われます。しかしながら、現在出回っている提灯コード(当社製を除く)のほとんどが防水もしくはそれ相当の認証を取得していません。残念ながらとても由々しき実状なのですが、それでも昔に比べると、いくらかマシになったほうです。

プロ線付ソケットの欠陥

提灯コードが製品化されるまで、提灯をセッティングするためには、VVFケーブルもしくはIV電線(共に屋内用)を幹線として、「プロ線付ソケット(通称:プロソケット)」という分岐用ソケットを取り付けて使うことが主流でした。なぜなら、プロソケットには電線のどんな箇所にも、いくつでも、簡単に取り付けられる、取り外しも自由自在というメリットがあり、それが使用者にマッチしていたからです。しかしながらデメリットもありました。それは、プロソケット取り付けは下の写真から分かるように、電線の被覆の上からピンを突き刺して中心の銅線へ通電させるという「ピン端子構造」になっているため、取り外した後に電線の穴(ピンホール)から雨水などが浸入し、それに触れた人が感電するという重大な感電事故が多発してしまったのです。

プロソケット1プロソケット2

これを重大事故と位置付けた経済産業省は、2008年にプロソケットの製造と販売を中止とする通達を出すことになります。一般的に電気用品を製造する際は、「電気用品安全法」という法律を遵守することが求められています。しかし、私が入手した某メーカーからのプロソケット廃止の文書には「(中略)プロ線付きソケットに関しまして電気用品安全法に基づき、ピン端子構造が認められておりませんでしたので・・・」と明記されていました。これから推測すると、もしかしたら最初からプロソケットのピン端子構造は法律で認められていなかった、感電事故が起きるだろうということは容易に予知できた、ということかもしれません。今となっては何が真実なのかは不明です。ですが、実際にはプロソケットの製造と販売が中止されただけであり、使用すること自体は法律に抵触しません。通達が出される前に購入されたプロソケットは、15年という年月を経過してもまだまだ現役で使われることが多く、先日も近所のお祭りで使われているのを見かけました。どうか事故が起きないことを願うばかりです。

以上より、提灯コードについては過去から安全性が軽視されてきたことが垣間見えます。しかしながら、提灯コードを使うのはお祭りの時期だけ、年に2、3日程度のみ、そんな低頻度が原因で法律の整備が後手後手になってしまったのは自然の流れというか仕方がなかったのかもしれません。実のところ、今でもピン端子構造ではない線付ソケットは正規に製造・販売されています。安全性は若干高まりましたが、絶対ではありませんし、肝心なのは使用する側の意識の問題になります。電気関係のメーカーからの立場から言わせてもらうと、少なくとも工事士免許を持っていない方が取り扱うことは止めてもらいたい。確かにホームセンターにて誰でも手軽に入手できますが、電線を加工できるのは電気工事士に限られること、感電事故は命をも落とすことがあるということを肝に銘じて欲しいです。

だから、保護等級を取得した

そのように、規制が比較的緩い提灯コードに対し、メーカーの立場として当社ができることは何か?を考えたところ、使用者の事故防止のためには防水性能を高めるのが一番と結論づけ、提灯コードの全タイプに保護等級を取得した次第です。おそらく、提灯コードで防水性能を公に認定されたのは日本で初めて(詳細は調査中)だと思われます。ちなみに、過去に当社が販売した提灯コードが、防水ではない、水が入る危険がある、ということではありません。当社が製造する全ての提灯コードは発売当初より当社規格(HIS:Hasegawa Industrial Standards)に基づいた社内での防水試験をクリアし、十分な防水性能を有していることを保証しますので安心してご使用ください。今回は第三者認証機関に試験を委託し、規格を満たしていることが評価された、ということになります。

参考)防滴、防雨、防水規格の違いとは?


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